お水が良縁をつなげる

浅草ぶらり散歩。
先日、今戸神社を参拝してきました。

ご存知の方も多いと思います。
今戸神社は良縁、縁結びのご利益で有名です。
国生みや神生みを行った伊弉諾命・伊弉冉命の二柱の神が縁結びのご利益を謳っています。

そして、招き猫発祥の地とも言われています。
今戸神社から歩いて10分少々にある浅草神社の境内にて、老婆が今戸焼きの猫を販売して大評判となり大金持ちになったという逸話がもとになっています。

今は発祥の碑が今戸神社にあることから招き猫の発祥は今戸神社だと言われています。

由緒では分からないこと

浅草の今戸や橋場付近では陶磁器の焼き物が盛んに行われてきました。
それは隅田川の流域では良質の粘土が採れたからです。

言い伝えによれば1573年–1592年の戦国時代に生産が始まるとありますが実際にはもっと前の時代から盛んであったと考えられます。

浅草神社のご祭神は以下の三柱です。
土師真中知命
檜前浜成命
檜前武成命
三社権現と呼ばれる神様達です。

三人の神様は名前の通り、土師氏と檜前氏の民です。
土師氏は出雲の民、檜前氏は明日香村(奈良)の民。それぞれ出雲族が武蔵国浅草郷に移住させられ、開拓を強いられた。
これに合わせて土師氏、檜前氏も派遣されたと文献にはあります。

京都亀岡に元出雲と呼ばれる出雲大神宮があり、もともと出雲は亀岡が発祥だと言う説もあります。
そして、亀岡から追い出された出雲の民は西と東に分かれ、西は現・島根(出雲)に、東は武蔵国浅草郷に移住していったと考えても違和感はないですね。

そう考えると陶磁器などの焼き物が得意な土師氏が開拓当時から焼き物をしたいたと考えてもおかしくはありません。

お水が質を作り火が成長をもらたす

陶磁器とはお水と火の化学変化によって作られる自然がもたらす芸術品だと思います。

そして焼き物とは面白いもので、粘土から成形した作品は素焼きをする前に十分乾燥させて水分を除きますが見た目は乾燥していても水が抜けた訳ではありません。粘土の粘土の結晶構造の一部となっている結晶水が残っているのです。
このお水は粘土の構造の中に分子レベルで結合しているので乾燥したくらいでは抜けません。

そして乾燥した作品を焼成していくのですが500~600℃程で化学変化が起こり構造が変わり、粘土の体積は膨張します。

速く温度を上げすぎると急に体積の膨張が起きるので割れてしまいます。
その為、焼成の温度はゆっくりじっくり上げていくことがよい焼き物が作れるのです。

隅田川流域の粘土は良質だったといわれるのは「お水」が重要だったということを表していますよね。
「人」も「粘土」も内に秘めるお水の質により変わってくるものなのです!

馳せる思い

この様に今戸神社と今戸焼を考えてみると良縁に巡り合う為には良質な人柄となり、ゆっくりじっくりと自分を育てていくこと。
相手との関係を築いていくことが分子レベルでのつながりになるのかなぁ…なんて思いを馳せてしまいます。

今戸神社で招き猫の今戸焼きを購入する際には古きご先祖様が作り上げた焼き物という壮大な「つながり」に想いを寄せてみては如何でしょうか?

伊弉諾命と伊弉冉命を祀る神社は数多くありますが今戸焼きだからこそ作れる良縁があるのかと思います。

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